アパートなどを借りた賃借人は、引き払う際に、借りていた部屋を元の状態に戻さなかればならないことがあります。これを原状回復義務といいますが、どのような状況で現状回復義務が発生するのか、そして費用はどれぐらいかかるのか、が問題となります。
まずアパートの一部屋を借りるということは、法律的には賃貸借契約をしていることになります。賃貸借契約が終了すると、賃借人は賃借物(アパートの一部屋など)を賃貸人に返還する義務を負います(民法601条)。この賃借物返還義務と同時に、現状回復義務も生じます。したがって、現状回復義務が生じうるのは、賃貸借契約が終了した時点となります。
一般に、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合に、賃借人に対して原状回復義務が生じます(民法621条本文)。アパートの一室を引き払う場合であれば、たとえば、故意・過失による、あらかじめ備え付けられていた設備(風呂場やキッチンなど)の損傷や内装の汚れなどが原状回復義務の射程範囲になります。もっとも、経年劣化などの賃借人の責めに帰すことのできないような損傷については、賃借人は現状回復義務を負いません(同条本文括弧書き及びただし書)。
原状回復義務の対象となるか否かは、賃借物の損傷が、賃借人の故意または過失によるものか、あるいはそうでないか、がポイントとなります。
もっとも、賃借人の原状回復義務は、賃貸人との個別の契約内容で特約として細かく定められていることもあります。特約の中で賃借人お原状回復義務の範囲に経年劣化による損傷を含むものも考えられますが、判例は、この旨の特約は賃借人に予期せぬ負担をかける恐れがあるため、あらかじめ当事者間で明確に合意されていなければならないとしています(最判平成17年12月16日判例時報1921号61頁)。
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