国際取引におけるトラブルが紛争に発展した場合、どのように解決していくのでしょうか。
例えば、海外の企業との売買契約において代金不払いがあったときに、代金前払いの特約があれば契約を解除する等の解決策が課考えられますが、そのような特約がなく、納品後の代金不払いの場合には、代金の回収を行わなければならなくなります。
最初は、代金を所定期間内に払わない場合には訴訟提起する旨を示す通知等を行って、強制力のない手段で解決を試み、それでうまくいかない場合には、訴訟や仲裁といった方法を検討することになります。
代金回収等のために訴訟を提起し負うと考えた場合に、問題となるのは「どの国の裁判所に訴訟を提起するか」です。代金を回収したい、と考えている場合には仮に訴訟で勝ったとしても相手企業の財産がその訴訟を行った国になければ、強制執行ができない可能性があります。
しかし、実際の取引の場が海外である等の「関係する証拠が別の国にある」という事情がある場合には、その国の裁判所に訴訟を提起することが、代金回収に資するといえるでしょう。
こうして、「その企業の財産がある国とは別の国で訴訟判決を得た」とします。そうすると次に問題となるのが、「外国判決の承認」という問題です。外国で得た勝訴判決を得たとしても、それをもとにして別の国にある相手企業の財産に対して強制執行をすることができなければ「代金回収」という目的を達成できないからです。そのために必要なのがその勝訴判決を承認してもらうことです。
日本においては、外国の判決について、民事訴訟法118条各号の要件を満たさなければ国内での効力はないということになっています。一方で、中国の外国判決の承認の制度においては、日本の判決は承認され得ない立て付けになっています。このような、各国の外国判決の承認の制度を考慮しなければ、訴訟の目的を果たせないことになってしまいます。
このように裁判所の判決を得ても、強制執行が認められないということが考えられる場合には、仲裁という方法が広く活用されます。仲裁とは、当事者が紛争の解決を第三者である仲裁人の判断に委ねる合意をし、それに基づいて行われる紛争解決手続きです。仲裁のメリットは、外国における仲裁判断であったとしても、強制執行が比較的容易なことです。もっとも、仲裁人の判断の基準がわからないことや、仲裁人の判断に不服があったとしても訴訟におけるこうそのような手続きをとることができないこと等のデメリットもあります。
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